蕎麦は昔から、大切な人をおもてなしするための特別な食べ物でした。
だから人々は手抜きすることなく、大切な人に喜んでいただける美味しい蕎麦を打っていました。
それが本当の日本蕎麦の作り方なのです。
時代が変わり、現代は効率優先、利益追求の社会になっています。
家庭で蕎麦を打つことは、ほとんどなくなってしまいました。
蕎麦は「おもてなしの料理」から「商品」に姿を変えました。
本来の日本蕎麦の作り方は、忘れられそうになっています。
昔ながらのきちんとした方法で蕎麦を打ち、蕎麦という食べ物が、本来、どれほど美味しいものであったのか、それを体験していただくのが、日本蕎麦保存会の「蕎麦のソムリエ講座」です。
【蕎麦のソムリエ講座のコンセプト】
蕎麦のソムリエ講座は、単に蕎麦を打つだけでなく、蕎麦を通して人と人が出会い、理解を深め合う場です。
そのために、蕎麦のソムリエ講座のコンセプトを、次のように設定します。
「私の打つ蕎麦は、大切な人のための、おもてなし蕎麦です」
大切な人に食べていただくために、手間を惜しまず、心をこめて打つことこそ、日本人が受け継いできた、本物の蕎麦の理念です。
蕎麦のソムリエ講座を受講される方は、この伝統を引き継いで、本物の「おもてなし蕎麦」を打てるようになっていただきます。
受講生の皆さんは、まず、「私が打つ蕎麦は、この人に食べてもらうためのもの」という、一人の人を心に決めてください。そして、その方に喜んでもらうにはどんな蕎麦を作れば良いのかを考えてください。あなたが打とうとしている蕎麦は、つまり、大切な人へのプレゼントなのです。
目標が決まったら蕎麦のソムリエ講座で練習して、あなたが考える「おもてなし蕎麦」を、実際に一枚の蕎麦として完成させましょう。もちろん、蕎麦つゆも、「おもてなし蕎麦」の中に含まれます。
蕎麦は、人と人を結びつける絆を生み出す食べ物です。あなたに生涯寄り添う、伝統の志と技術を、蕎麦のソムリエ講座で、どうぞ身につけてください。
蕎麦のソムリエ認定委員会委員長、片山虎之介