蕎麦は昔から、大切な人をおもてなしするための特別な食べ物でした。
だから人々は手抜きすることなく、大切な人に喜んでいただける美味しい蕎麦を打っていました。
それが本当の日本蕎麦の作り方なのです。
時代が変わり、現代は効率優先、利益追求の社会になっています。
家庭で蕎麦を打つことは、ほとんどなくなってしまいました。
蕎麦は「おもてなしの料理」から「商品」に姿を変えました。
本来の日本蕎麦の作り方は、忘れられそうになっています。
昔ながらのきちんとした方法で蕎麦を打ち、蕎麦という食べ物が、本来、どれほど美味しいものであったのか、それを体験していただくのが、日本蕎麦保存会の「蕎麦のソムリエ講座」です。
【蕎麦のソムリエ講座のコンセプト】
蕎麦のソムリエ講座は、単に蕎麦を打つだけでなく、蕎麦を通して人と人が出会い、理解を深め合う場です。
そのために、蕎麦のソムリエ講座のコンセプトを、次のように設定します。
「私の打つ蕎麦は、大切な人のための、おもてなし蕎麦です」
大切な人に食べていただくために、手間を惜しまず、心をこめて打つことこそ、日本人が受け継いできた、本物の蕎麦の理念です。
蕎麦のソムリエ講座を受講される方は、この伝統を引き継いで、本物の「おもてなし蕎麦」を打てるようになっていただきます。
受講生の皆さんは、まず、「私が打つ蕎麦は、この人に食べてもらうためのもの」という、一人の人を心に決めてください。そして、その方に喜んでもらうにはどんな蕎麦を作れば良いのかを考えてください。あなたが打とうとしている蕎麦は、つまり、大切な人へのプレゼントなのです。
目標が決まったら蕎麦のソムリエ講座で練習して、あなたが考える「おもてなし蕎麦」を、実際に一枚の蕎麦として完成させましょう。もちろん、蕎麦つゆも、「おもてなし蕎麦」の中に含まれます。
思った通りの蕎麦が完成したら、器に盛り付けて片山虎之介に食べさせてください。
私なりの感想をお伝えします。
これが「蕎麦のソムリエ」の認定試験となります。
冷たい蕎麦と、温かい蕎麦、二種類の「おもてなし蕎麦」が完成したら、「蕎麦のソムリエ4級」の認定証を差し上げます。
これであなたは、いつでも大切な人に、最高のおもてなし蕎麦を打ってあげることができます。蕎麦のソムリエ4級を取得したお祝いも兼ねて、あなたの大切な人に、あなたが作った「おもてなし蕎麦」を、召し上がっていただきましょう。
ここまでが蕎麦のソムリエ講座の第一段階となります。
受講生のYさんが打った「おもてなしそば」。とてもおいしい十割そばで、お蕎麦屋さんに行っても、なかなか、ここまでのそばは食べられません。
受講生のOさんが打った「おもてなしそば」。器や雰囲気にも心を配り、すばらしいそばが完成しました。そばつゆも、時間をかけて手作りしました。こんなおもてなしをされたら、感激ですよね。
次に目指すのは、さらに磨き上げた3級の「おもてなし蕎麦」を作ることです。4級のときよりも、もっと美味しい蕎麦を打っていただくことを、3級の課題とします。
そして冷たい蕎麦と、温かい蕎麦の二種類が完成したら、「蕎麦のソムリエ3級」と認定いたします。
1級を取得するまでに、あなたは、8種類の完成された「おもてなし蕎麦」が作れるようになります。もう立派な、蕎麦の達人です。
蕎麦は、人と人を結びつける絆を生み出す食べ物です。あなたに生涯寄り添う、伝統の志と技術を、蕎麦のソムリエ講座で、どうぞ身につけてください。
蕎麦のソムリエ認定委員会委員長、片山虎之介